きみは溶けて、ここにいて【完】





 森田君と記憶を、共有しているんだ。


前に私に「イエスマン」と言った森田君。
嫌味のようになっていたら、どうしよう。


影君は何も悪くない。それに、森田君だって、悪くなかった。だって事実だから。

イエスマンでいる私が悪いだけだ。




 影君に、ごめんね、と言いかける。


だけど、その前に、「そんなことを言う人間が、だめだから、……文子さんは、僕に謝ることなんて、ないと思う」と言われて、中途半端に開いた口を閉じて、肯定していいことなのかも分からないから、斜め下に頷いた。



 やっぱり、影君は、森田君が私にそう言ったことを知っているみたいだった。



「……だけど、私は、断れないんだ。だから、イエスマンで、合ってると、思うの」



 保志 文子は断らない。


それだから、今、影君の隣にいるんだ。断っていたら、今、影君とは話してなんていない。


イエスマンだから、あなたの隣にいる今がある。

そう思ったら、少し、複雑な気持ちになった。