きみは溶けて、ここにいて【完】









保志 文子 様   



暑くなってきたけど、文子さんの体調は大丈夫ですか。まだ、夜は涼しくて、僕はほとんど涼しさだけを味わっているから、陽には申し訳ないなと思います。

僕はやっぱり駄目で。だけど、最近は、夜に眠るまでの短い時間しか僕になれなくて、僕のせいではないけれど、そんなのはきっと言い訳で、やっぱり、陽には悪いと思ってる。


なんだか文が変な気がする。それに、そんなことを、文子さんに言っても仕方がないのに、書いてしまって、相変わらず僕はボールペンだから、後悔ばっかりです。


文子さんが、蝶が苦手だと知って少し驚いた。

だけど、確かに蝶は、近くで見ると、生々しい生き物で、僕はそんなに苦手じゃないけれど、苦手だという気持ちは想像したら少し分かる気がする。


それと、僕の質問に答えてくれてありがとう。新しい、質問もありがとう。


1.陽から僕に、僕から陽に入れ替わるときに、痛くはないのかということについてですが、まったく痛くはないんだ。感覚で言うと、自分のいる部屋が入れ替わる、というようなものです。少し違うけど、とにかく痛くはない。

2.身体の中で陽とケンカはしないのかということについてですが、しないよ。でも、お互いに影響は及ぼして合っている。喧嘩はできないし、しようとも思わないけれど、陽は僕に不満がたくさんあると思う。だから、陽には、本当に申し訳ないなと思ってる。

3.好きなときに入れ替われるのかについてですが、昔はそうだったんだけど、今は、そういうわけにもいかなくなって、やっぱり陽であるときの方が多いです。そうあるべきなんだと思う。僕は、時々、陽に迷惑をかけてしまいます。

4.僕ができたきっかけについてですが、これはごめんなさい。陽が言ってほしくないかもしれないし、僕の口からは何も言えない。ごめんなさい。


(二枚目に続きます。長くて、ごめん)