影と呼んでください。

僕は、じゃあ、文子さんと呼ばせてもらいます。

入れ替わる時間は決まっていないけど、学校では、この身体は陽のものです。だから、朝とか夜が多いのだけど、休日は、昼間に僕であるときがある。

できるかぎり答えるから、たくさん質問してくれていいよ。でも、上手に説明できなかったら、ごめんなさい。……ーー。








――手紙の返事の書き出しには、そう書いてあった。

森田君の下駄箱にこっそりと封筒をいれた次の日の朝、また初めと同じようなクリーム色の便箋が私の下駄箱に入っていた。



 初めて影君に手紙を出したとき、五日もかかってしまったけれど、二通目の返事は、もらった二日後までには出すことができた。

影君からもらった手紙は、自分の部屋の机の引き出しに一通、一通、角を揃えて積み上げていった。



 秘密はここにだけある。

両親が私の机の引き出しを開けることは、きっとないけれど、学校に行く前は引き出しに鍵をかけることにした。