きみは溶けて、ここにいて【完】





「……ねえ、私、分かったんだ、森田君」

「なに、が?」

「影君は、ここにいる、よ。森田君、林間学校のとき、言ってたよね。影君がいなくなったらそこに何が生まれるのか。暗闇になるのか。それが怖いって。今も、怖がってるよね。でも、違うと思う。いなくなんて、ならないよ」

「………、」 

「溶けたんだ。森田君に混ざったの。ひとつに、なったんだよ。私は、森田君じゃないから、森田君がどう感じているのかわからなくて、でもね、似てるの。森田君と影君、手紙でおんなじこと言うの。たくさん、似ている部分があった。それで、思ったんだ。たぶん、ずっと、支え合っていたんだよ。昼も、夜も。明るさに焦がされないように、暗がりに閉じこもらないように、頑張って、やってきたんだよ。それは、たぶん、これからも変わらないんだ。森田君は、ずっと、森田君だけど、そこに、ようやく、影君は溶けこむことができたんだと思う」



 一歩、森田君に近づく。

眩しい朝の光に照らされている。息を吸い込んで、もう一度、森田君、と名前を呼ぶ。



「やっぱり、思うよ。森田君はね、無理に笑わなくていい。笑いたかったら、笑ってもいい。私、ずっと、羨ましいって思ってた。クラスの中心にいて、何にも不自由なさそうにいたから。だけど、今は、そんな風に全然、思ってないんだ。証明なんて、やっぱり、しなくていいと思う。森田君には幸せになってほしい、だけど、幸せになるために無理をしなくてもいいと思う。光の中だけに、幸福があるわけじゃないんだよ。疲れたら、疲れたって顔、していいと思う。もっと、自由に、幸せにも不幸にもなって、いいと思う」

「……う、ん」

「私、森田君にも影君にも言いたい」