きみは溶けて、ここにいて【完】






前のあなたなら絶対に触れなかったものに、最近触れようと思ったということ。

それが、意味すること。



 この世界には、無数の解釈の仕方がある。

真正面からは見えないけれど、横から見たときだけ翼が見える神様だっている。私たち、自分の都合のいい優しい解釈に、時々は、救われてもいいんじゃないだろうか。



そうやって、生きても、いい。




 私、今、思っている。



 結局、森田影は森田陽の一部で、森田陽は森田影の一部なんだ。いなくなって、なんかいない。

違うんだ。
やっぱり、ふたりはひとりなんだ。


もともとひとりきりだったものが、一度ふたりになって、また、ひとりに戻ったんだ。



影君の存在を感じなくなって、大きな穴があいているみたいだと森田君は言っていた。だけど、きっと、穴なんてあいていないよ。


それは、森田君の一部だ。