きみは溶けて、ここにいて【完】





 違う字、違う丁寧さ、違う言い回し。

まったく別の存在だと思っていた。最初は同じであったけれど、結局のところ、切り離された、身体と記憶だけを共有していたふたりだ、と。

そう言っていたから。
そうだとしか思っていなかった。



 だけど、たくさんあるんだ。

同じ考え方、世界の見方。


どうして、今まで、気づかなかったのだろう。


ふたりの違う価値観しか見つめてこなかった。だけど、固まっていた先入観を解いてしまえば、手紙のいたる箇所で私から見た二人の共通部分が見つかった。





「っ、森田、君、」



ーーーもしかしたら、大丈夫に、なれるかもしれない。



 また、こんな夜に泣きそうになってしまう。


興奮は、いつの間にかじんわりとした温かさに変わっていた。



影君からもらったたくさんの手紙をもう一度、封筒にしまい直して、引き出しに入れる。もう、鍵は閉めなかった。



 なぜか、息が切れていた。

深呼吸をしてから、もう一度、森田君の手紙を見る。