きみは溶けて、ここにいて【完】




 眠っているたくさんの、手紙。

品のいい封筒にすべてはいっている。


堪らない気持ちになりながら、記憶を頼りに、林間学校が終わってすぐにもらった影君からの手紙を開く。



 そこには、やはり、シェイクスピアのソネットの十八番の詩の最後が引用されて書かれていた。


森田君とは違う言葉づかい。
美しいボールペンの筆跡。

だけど、森田君も影君も、同じことを感じているのだと思った。




「……僕は僕である本当に少ない時間に、昔、僕が偶然出会った、シェイクスピアのソネットの第十八番の詩を、思い出したり、しています」



 声が震えてしまう。

 影君の超えられなかった夏。



 消滅したと思っていた。

だけど、ねえ、森田君。もしかしたら、影君は、本当に、消えてしまったのではないのかもしれない。



 一度、引き出しを開けてしまえば、他の手紙に触れることも容易くて、それから、私は、無我夢中で、二人の手紙を読み比べた。