きみは溶けて、ここにいて【完】





 二枚目までは、くすりと笑いながら、身体の力を抜いて森田君からの手紙を読んでいた。


だけど、今、手にしている三枚目の便箋。

森田 陽、という最後の文字を目で追い終えても、閉じることができないでいる。



 身体が強張っていた。それは、恐怖とか不安とかそういう類のものからくるものではなかった。



今まで一度も見えていなかった選択肢が突然光った気がして、そのことに心の奥が震えてしまって。

もう一度、詩だけをなぞる。


永遠の命。呼吸しているかぎり。目が見えるかぎり。最近読んで、すごく好きだったと感じている森田君。




「……ソネットの、十八番、」



 その詩の最後のフレーズを、私、知っている。



 心臓が、大きく音を立てていた。



 同じ身体とほとんどの記憶を共有していた、ふたり。

だけど、まったくの別の存在だと思っていた。


それでも、どうなんだろう。