きみは溶けて、ここにいて【完】






 森田君は、手紙に関して、力作かどうかなんて視点をもっているんだ。

そんなこと私は、あんまり考えたことがなかったから、なんだか可笑しいと思った。



森田君のいなくなったベランダをしばらくぼんやりと見あげたままでいてしまう。

そんな中、夕焼けは、全てを包みこむように、広がっていた。



 家に帰って、夕飯とお風呂をすませてから、「力作」と言っていた手紙を鞄の中から取り出した。

封筒から出す手間はない。
ただ、開くだけだ。


いつもは一枚の便箋で終わっているのに、珍しく、三枚にも渡って言葉が綴られていた。




 保志さんへ、森田君の手紙はこの言葉からいつも、始まる。


読み進めていくと、やっぱり、ところどころ面白くて、知らぬ間にくすっと笑ってしまう。


一枚目と二枚目を読み終えて、
三枚目の便箋を開く。