きみは溶けて、ここにいて【完】






 放課後、ホームルームが終わってすぐに、中庭の花壇へ向かった。


コスモスが咲いている。

まだ、森田君は来ていないみたいで、私は、花壇の隅に座って待つことにした。手のひらのなかに、もらったメモを握りしめている。



 あの日から一度も森田君とは言葉を交わしていないから、緊張していた。

しばらくすると、校舎からこちらに向かって歩いてくる人影が見える。

よ、という風に手を振られ、私もおずおずと手をあげた。彼は、私の座る花壇の前で立ち止まり、「また、呼び出して、ごめん」と言う。



 森田君は、もう、向日葵畑で泣き合った日のことを、あまり気にしていないようだった。或いは、気まずいから、気にしないふりをしてくれているだけなのか。


困ったように笑いながら、彼は、私の隣にゆっくりと腰をおろす。

さらさらと、夕暮れの風が頬をなでる。



 私たちは、しばらく黙ったまま、ただ並んで座っていた。


何を言葉にすればいいのか分からず、私は、森田君が話し出すのを待っていなければならないと思っていた。