きっと、間違いではないだろう。
あの時、罰ゲームか何かだと思って、怯えていた。そこから始まったんだ。
今はもう、全てのことが、懐かしく思えてしまう。
メモを二つ折りにして、制服のポケットの中へ戻す。
教室に行けば、すでに森田君の姿があった。前の扉から入った時に、ぱちりと目が合う。
逸らす前に、頷かれて、その頷きが何を意味するのか分からないまま、私は彼にだけ分かるくらいの動きで、頭を下げた。
森田君は、放課後、何を私に話すつもりなのだろうか。
一番恐れていたことはすでに起きていて、もう私は何を聞かされても平気でいられるのではないかと思った。何でも、聞くつもりだ。
ただ、あの日――森田君が影君のふりをしていた日、彼の前で私は、泣きじゃくり、彼に抱きしめられてしまった。
かなり悲惨な姿を見せてしまったと、冷静になった今なら分かっている。
彼の泣き顔も、しっかりと見てしまった。
物理的な距離をなくして、無防備な涙を見せあったんだ。
今更、そのことには、少しだけ気まずさを感じている。



