きみは溶けて、ここにいて【完】






 このまま、すべてが過去になってしまうのだと、思っていた。


 だけど、夏休みが明けて、数週間後の朝。

重たい瞼を擦りながら、下駄箱を開くと、上履きの上に、長方形の白い紙が一枚、置かれていたんだ。

見間違いかと思って、一度下駄箱を閉じてまた開く。だけど、そこには、やっぱり、メモのようなものがあった。



 どうしたのだろう。もう、森田君の中では完結したのではなかったのか。



 封筒ではない。
だから、期待はしなかった。


 恐る恐るメモをつまんで、制服のポケットに忍ばせる。初めて、森田君に手紙をもらったときのことを思い出していた。


トイレの個室の中で、確認する。

その行為でえ、今ではとても懐かしく感じて、きゅ、と胸が痛くなった。




『放課後、話したいことがあります。中庭の花壇のところで待っていてくれませんか? 保志さん、よろしく。 森田 陽』



 メモには、それだけが書かれていた。

あまり丁寧ではない、シャープペンシルの文字。


影君の筆跡では、ない。森田君に最初にもらった手紙と全く同じ内容であるような気がした。