きみは溶けて、ここにいて【完】





 まさか、でも、そんなはずがない。
そんな、偶然が、起こるはずが、ない。


そう思いながら、目を閉じたままの影君を見つめる。



 だけど、そうだ。


この世界は、そうやって、蝶の羽ばたきが台風を起こしてしまうみたいに、色々なことが知らない間に繋がって、いる。


セピア色のパズルのピースが、静かに、本来あるべき場所に、ゆっくりとはまってしまったような気がした。




 傷つけてしまって、ごめんなさい。本当は、あなたが大切だったから。そうやって、地獄を見せてしまって、ごめんなさい。そんなことばかりを思っていた、頃。

自分の全てが不正解なのではないかと、震えていた中学生の、私。




 すごい雨の日だった。
学校の帰り道だったと思う。



 少し前を、ずぶ濡れの人が歩いていた。

紺色のパーカーに身を包んだ後ろ姿が、ふらふらと横揺れしていて、私は、この人が死んでしまったらどうしよう、とバカみたいなことを思って。どうしようか、迷いながら、後ろを歩いていた。

だけど、だんだんと、やっぱり、死んでしまったらと思うと怖くなってしまって、余計なお世話にきまっているのに、傘とタオルを押し付けてしまったんだ。


 その時、なんて、声をかけたのか正確には覚えていない。ただ、謝ったことは覚えている。

怖くて顔も見れなくて、すぐに、その場から離れた。