きみは溶けて、ここにいて【完】





「な、に、」



〈夜分に、ごめん。今から、会えませんか。無理を言ってると、分かってます〉



 差出人の欄には、森田陽、と示されている。


見間違いかと思って、瞬きをしてみる。

だけど、目蓋を開いた先には、やはり、同じ光景が広がっている。



彼と携帯でメッセージのやりとりをしたことなんて、今までに一度としてない。


連絡先は、どこで知ったのだろう。

ああ、あれか。四月にクラス全体のグループができたんだ。そこから、私の個人メッセージに飛んだのだろうか。それしか、考えられない。




 だけど、どうして。


 数秒、携帯を見つめたまま、考えていた。森田君が私に何か用があるとしたら、きっと影君のことだ。


それならば、夜であろうと、私、聞きたい。

聞かなければならないとも思った。義務に焦がれている。



 春の終わりに仲良くなった人だ。
まだ、知り合って数か月しか経っていない。


それなのにどうしてこんなに、影君という存在に責任を感じるべきだと、感じたいと、思っているのか。

それは、きっと、影君が仲良くしているのが、森田君という身体を共有する人以外には私だけだと思っているからだ。