きみは溶けて、ここにいて【完】





影君のことを思うと、こころの中で、硝子の魚が泳ぐ。それは、湖に生息する、不思議なかたちのもの。背骨がしなやかで、だけど、揺れない。

湖を思うと、ネモフィラ畑で隣にいた影君の瞳を思い出す。そういう風に、繰り返し、影君を思っていた。



―――“影の存在が薄いんだ”森田君の言葉をかき消すように、影君を思う時間が多くなった。


私だって、なんだか、あらゆることが、怖くて、仕方ないんだ。




 そんなときだった。



 夕飯を食べ終えて、自分の部屋のベッドの上でぼんやりとしていた夜のこと。

ちりん、と電子の鈴の音を携帯が鳴らしたから、徐に確認すると、携帯には、一通の新着メッセージが入ったことを知らせる通知が入っていた。




いつも私の携帯を鳴らすのは、ほとんど久美ちゃんしかいない。


 どうしたんだろう、と思いながら、通知を開く。そこで、思わず、目を見開いてしまった。