きみは溶けて、ここにいて【完】






森田君のことを知った。

前とは違う風に教室の中心で笑う彼を見ている。きっと、私と森田君、あの夜に、心の距離を、少し近づけてしまったんだ。

だけど、だからと言って、結局、影君がいなくなることを望むことなんて私には、できなかった。




やっぱり、私は、影君に会いたい。

森田君と影君の過去を知ってもなお、その気持ちは変わらないのだ。


私は、森田君よりも、影君のことを大切に思ってしまっている。誤魔化しようのない事実を認めてしまってからは、時々、目がくらむ。

手紙を読み返して、会った時の記憶をなぞって、そうすることしかできないのが歯がゆかった。




 いつの間にか、もう、心の距離なんてどうでもよくなってしまっていた。


傷つけたくないし、傷つけられたくはない。何かを思い、何かを伝えることも伝えないことも、すべて怖い。それは今も変わっていない。



だけど、それよりも、会いたいと言う気持ちが強くて、控えめな影君の笑顔が見たかった。

他人に対して、そんなことを思うのは、初めてで、私はどうすればいいのか分からずにいる。