きみは溶けて、ここにいて【完】






「彼、誰も好きにならなさそうだし」

「……それ、前も久美ちゃん言ってたよね」

「うん。みんないて、みんないなくても、幸せってオーラがでてるんだもん」

「……そう、だね」



 誰も好きならないかどうかは置いておいて、私も、今までは、ただ森田君のことを幸せな人だと思っていた。



 だけど、林間学校の夜のことが忘れられない。

森田君は、幸せでありたいけれど、
ただ、幸せな人ではない。


 人には、誰にでも弱い部分があって、守りたいものがあって、その人なりの、幸福と不幸がある。

だから、似合うとか似合わないとか、そんなものは、本当はないのかもしれない。

みんな少しずつ重なっている。同じ世界で、違う苦しみを抱えながら息をしている。

誰かを知るということは、そういう本当は見逃していたいことを、見つめるしかなくなるということ。



「まあ、人気者ですからねえ、森田君は」



 久美ちゃんの声に、頷く。

そうやって森田君はみんなに見ていてほしいの、と私は思った。