きみは溶けて、ここにいて【完】





そうしたら、ようやく、島本さんたちの顔の強ばりが解けていく。少しだけ、身体の力を抜くことができた。



「保志さんが、陽のこと、好きとかじゃないの?」


 金山さんの声に、森田君は苦笑いを浮かべる。しんみりとしたものではなく、爽やかなもの。

場を重くしないような気づかいをしてくれているのだと分かった。



「そういうのって、かなり、個人的なことだよ。こんなところで、ずけずけと聞くことじゃないって」

「この際だし、聞いてもいいかなって思ったんじゃん」

「じゃあ、金山は、誰が好きなの? 男? 女? このクラス? もしいるなら、そいつのどこが好きなの? 顔? 性格? この際だし、今、俺に教えて」

「え、無理無理。何言ってんの、陽」

「だから、そういうことだ。もうやめよ。保志さん困ってるし、終わり」



 そう言って笑いながら、森田君は、自分の席に戻っていく。彼を追いかけるように、島本さんたちも私の前からいなくなった。



 未だに、心臓はドキドキと音を立てている。

それでも、ようやく、ふう、と息を吐くことができる。

なんとか誤解は解けたみたいで、よかったと思うしかなかった。影君のこともバレなくてホッとする。