さっきまで堂々としていた島本さんの顔に、ほんの少し焦りのような色が滲んだ気がした。
彼女は、「なんでもないよ」と苦笑いをして、横髪を耳にかけた。そうしているうちに、森田君が私の席の横に立つ。
それで、目を。
合わせてしまった。
彼は、いつものように、爽やかに口角をあげている。
ここは戦場ではなく、教室だから。大丈夫だよという風な目をしているように見えて、なんだか、安心してしまって、ほんの少し私は泣きたくなった。
ああ、そうか。
私、助けてくれるかもって思ってたんだ。
その通りになったから、安心しているんだ。
自分の気持ちに気づかされるのは、いつも事後だ。
どこまで、他力本願で、無力な自分のまま、怖がることだけが上手くなって、そんな自分が本当に嫌なのに、それよりも、今、森田君が、ここにきてくれて、救われている。



