きみは溶けて、ここにいて【完】





ただ、悟る。

きっと、森田君は、脆弱なものを誰にでも分かるように背負っているのではなく、誰にも見られないように胸の中に飼っているひとなのかもしれない。



 だけど、森田君の言う幸せは、本当の幸せなのだろうか。

他人の幸せを図ることは許されない。


それでも、こんなにも丸裸の気持ちを見せてくれている相手に、自分を守るためだけに偽りの反応を返すことは絶対にしてはいけないと思った。



 傷つけてしまったら、その分、私も傷ついていい。意味の分からない覚悟をして、恐る恐る、唇を開く。



「森田、君、」


 声は、やっぱり震えてしまう。

だけど、今この場所に、優しい逃げ道はない。

あちらこちらに光がある。

その光に擦れて、私の声が、なるべく丸く、森田君に届いてほしいと願った。