きみは溶けて、ここにいて【完】





頷いて、そっと、私も空を見上げる。

確かにそこには、木々の間から白い星が幾つかのぞいていた。



 あちらこちらに光がある。

だから、大丈夫になりたいね。
私も、森田君も、大丈夫に、なりたい、ね。



 言えない言葉が、胸の中で、すぐに死んでいく。救えないまま、黙っていた。

私は、森田君が、話し出すのを、ただ、待っていなければいけないと思った。




「俺の親、中二のときに、離婚したんだ」



 しばらくして、ようやく、森田君は、そう言葉を落とした。

相槌を返せないまま、私は、彼の言葉の続きに耳をすませていた。



「予兆はあったよ、そりゃ。だけど、本当の意味で、家族が、バラバラになった。もう、戻らないんだと分かった。そのときに、影ができたんだ。俺ね、父親も母親もどっちも大好きだったんだ。愛ってさ、不滅だってバカみたいなことを思っていた。だけど、違うんだ。愛は、終わる。愛は、裏切る。愛は、傷つける。そんなこと、一番大切な人たちから、知りたくなかった。苦しくて、苦しくて、苦しいとばかり思ってた」



 恋愛映画が嫌いだと言っていた。

影君が、森田君もそうなのだと。


愛は、終わる。愛は、裏切る。愛は、傷つける。森田君は、苦しい方程式を、ずっと抱えているみたいだ。