「保志さん、」
「う、ん」
「最近はさ、もう、俺が、俺であるときがほとんどなんだ」
森田君の目が、私の中の何かを探っているかのように、きゅっと微かに細まった。
俺が俺であるとき。それは、つまり、影君が影君ではないとき。それ、がほとんどだということ。
私は何を思えばいいのだろうか。
森田君は、何を思ってほしいんだろうか。
なんだか、試されているような気がした。
だけど、次の瞬間、そうじゃないのだと気づく。
なぜって、
―――「怖くて、仕方が、ない」
森田君が、そう、ぽつん、と呟いたからだ。
夜の闇のようにしっとりとした声だった。
ひゅ、と喉の奥が鳴る。
「……なにが、怖いの?」
そう彼に問う自分の声は、弱々しく、とても情けないものになった。



