きみは溶けて、ここにいて【完】






森田君に頼まれて、影君と親しくなった。

今日、会いたいと思った。困ってなんていない。

最初は困っていたかもしれないけれど、それ以上の気持ちが、今、私の胸に存在している。



「そんなこと、ないよ」と言葉を返す。


 彼の瞳だけが、ちかちかと、輝いていた。

姿勢はいい。
だけど、いつもとは少し違う。


暗いけれど、それがなんとなく分かる。


どうしたのだろう、と思っていたら、森田君は顔を私の方へ向け、「保志さん」と、彼らしく私の名前を呼んだ。



「……薄く、なって、いる」

「え?」

「影の存在が、薄くなってるんだ。あのさ、保志さん、本当のことを言うと、保志さんに影と仲良くなることをお願いする少し前から、影の存在が俺の中で小さくなっていた」



 影君の存在が薄い。

それが、何を意味するのか。分からなくて、分かりたくなくて、返す言葉が見当たらない。


暗闇で森田君を見つめたまま、私は、森田君の言葉に、呆然としてしまっていた。