きみは溶けて、ここにいて【完】





「保志さんも、座ったら?」

「……あ、うん」



 森田君から少し離れたところに腰をおろす。

すると、森田君がおしりをずらして、私のほうに近づいてきた。


いつだって、クラスの中心にいる森田君だ。近づけば近づくほど、緊張してしまうはずなのに、なんだか、今は、あまりドキドキしていなかった。


きっと、暗闇だったから。

私と森田君が今並んで座っているのを知っているのは、美しく光る蛍と沈黙の森だけだと分かっていたから。



「今、保志さん、影じゃなくて、残念だと思ってるよな」

「っ、そんなこと、」

「残念だと思ってくれないと、影は落ち込むから、思ってやって」

「………」

「なんてな。ごめん。困らわせたいわけじゃないんだ。でも、頼んだ時点で、保志さんを困らせていたことは、分かってるよ」



 森田君が、ゆっくりと息を吐き出す。

いつもみんなに囲まれている時よりも、穏やかな声だった。罪悪感を感じているのかもしれないと思った。



 困らせているなんて思ってほしくはない。

もう、何もかも、今更なのだ。