息を抜くような笑い声が隣から聞こえる。
それは、どこか、諦めたような音をしていた。
「……影はさ、保志さんに、これを見せたかったんだと思う」
「え、」
「一緒に、見たかったんだと、思う」
やっぱり、そうだったんだ。
なんとなく、そうなのかもしれないと、途中から、思っていた。
行こう、と言った声の力強さ。背筋の伸びた後ろ姿。それから、上手な笑い方。
今、私の隣にいるのは、影君ではなくて、森田君だ。
私も、この蛍の美しさに影君と触れたかった。
今、残念に思っている。
それを、絶対に森田君には悟られてはいけないとも思っている。
空気の中を泳ぐようにして蛍が発光している。
それを見つめながら、「……影君は?」と、恐る恐る問うと、ゆっくりと森田君はその場にしゃがんで、「何してるんだろうな」と言った。



