きみは溶けて、ここにいて【完】






 どれくらい時間が経っただろうか。

きっと、たったの数分だ。
だけど、すごく長く感じていた。


待つという行為は、ときどき、体感時間を勝手にすり伸ばすものみたいだ。


広場のほうから微かに聞こえるはしゃぎ声に、今頃みんながどう過ごしているのか、少しだけ気になり始めていた。



 そんなときに、とん、と後ろから肩を叩かれる。


足音が聞こえず、気配をまったく感じ取れていなかったから、驚きのあまり、びくん、と大げさに身体を揺らしてしまった。


どうしようか。

先生だったら、幽霊だったら、違う人だったら。



 そんな一瞬の焦りは、振り返った瞬間に消える。



 暗いから表情ははっきりと分からない。

だけど、確かにそこには、今の今まで、待っていた人の姿があった。



会うのは、ネモフィラ畑を見て、お蕎麦を食べた土曜以来だ。それも、もう随分と前のことのように感じている。