「へぇ、美空ちゃん上手だねぇ」
 
「……お父さんがよく淹れてくれたから、見てて」


 コーヒーの粉を30秒蒸すのが終わって、膨らんできたのが見れたら粉の中心から“の”の字を描くように外側へとお湯を細かく注いでいく。

 抽出されたのを見ると、コーヒーカップにふたつ注いだ。


「完成です、これでいいですか?」

「うん、完璧」

「良かったです」


その後も、来たお客様のコーヒーを淹れたりして閉店まで働いた。


「お疲れ様〜ありがとね、美空ちゃん」

「いえ」


 喫茶店から住んでいる家の方に戻ると、伊蕗くんがご飯を作って待っていた。


「美空ちゃん、座って。疲れたでしょ?」 

「うん……ありがと」


 伊蕗くんに座るように言われ座ると、目の前にはハンバーグに豆腐の味噌汁にご飯が並べられる。


「はい、どーぞ」


 私は手を合わせ「いただきます」と言ってご飯を食べ始めた。