「美空ちゃん、準備できたー?」
交通事故から数ヶ月経ち、私は住んでいた街を離れた。
両親のお葬式が終わり、来てくれた人に挨拶をしていると声を掛けられた。その人は坂下さんという人で……それが私を呼んだ人だ。
「はい。準備できました」
「よし、じゃあ行こうか」
私は頷くと、坂下さんに付いて部屋を出た。
坂下さんと一緒に歩いてとある場所に向かう。この人は、私のお父さんの親友で48歳。私の保護者になってくれた人だ。
「美空ちゃん、ここが試験受ける高校だよ」
「大きいですね。すごい」
高校は元々住んでいた場所で行くはずだったんだけど、坂下さんのお家に引っ越しをしたためにその近くにある高校に入ることになった。