地味な不動産王とお見合いしたら、とんでもないイケメンで溺愛されています。




「……はい、その通りです。正直なところ、僕の中身はほとんど変わっていないでしょう」


 先ほどまでの笑顔が一変、真剣な面持ちの鮎川さんは、私に向き合って言葉を続けた。


「一か月前、若菜さんに注意されて別れたあと、僕はすぐに何人かの知人に相談しました。そして、彼らの紹介してくれたお店に行き、言われるがままに服を買い、髪を切り、眼鏡をコンタクトに変えました。自分ではよく分かりませんでしたが、美織さんのように、知人たちはみんな褒めてくれたんです。」

「……っ……」

「だけど、僕の中には違和感がありました。こうやってお金を使って、人の言いなりになって表面をキレイにしても、根本的な解決にはならないんじゃないかって。だから、いろいろな本を読んで、たくさんの人に話を聞いて、自分なりに外見のことを勉強したんです。でも……」

「…でも?」


「いろいろな知識が頭に入っても、若菜さんに言われたのはこういうことじゃないんじゃないかって、そう思ったんです。きっとこのまま若菜さんに会っても、僕の浅はかな変化は見透かされてしまうだろうって。僕はそれが怖かった」

「怖かった? 私、そんなに怖かったですかこの間……」


 確かに、今落ち着いて考えるとあんなマシンガントークで言われたら怖いかもしれない。