『ああ。
斗希に、寧々の事で礼言っといてくれねぇか。
寧々の子供の親権取り戻せたみたいで、斗希には色々世話になったって寧々が言ってて。
だから…んな、感じで』


「それって、別に篤が斗希にいちいちお礼言う事じゃないじゃん。
だって、直接その寧々ちゃんから、斗希もお礼言われてるだろうし」


起こされて腹が立つから、ちょっと意地悪言う。


『まあ、そうなんだけどよ』



「そんなに斗希が気になるなら、
そろそろ仲直りすりゃあいいじゃん」


その寧々ちゃんの事を理由に、
篤は斗希に関わりたいのだろう。


間に、俺を通してでも。


篤は幼馴染みで親友の斗希と、絶縁した。


かれこれ、もう半年くらい経つか?


『いや、それは出来ねぇし。
お前だけには、その理由も話したから分かるだろ?』


「うん。
昔、斗希が篤のお姉ちゃんレイプして、
それをネタに脅して、ずっと体の関係持ってたって」


なんで、篤は俺にはその事を話してくれたのか、と聞いた時一瞬思ったけど。


俺はそれを聞いても、斗希に対して特に軽蔑したりしないからだろうな。


実際、それを篤に聞かされて、そうなんだ、くらいにしか思わなかった。


俺は昔、もっと色々酷い事を女に平気でしていたから、その感覚が麻痺している。


多分、他の篤の周りに居る奴らは、
そんな話を聞いたら、斗希に対して許せないような気持ちが湧くだろう。


そして、篤の周りの人間は、わりと斗希とも共通の友人知人が多い。


だから、言えない。