私は斗希さんに連れられ、とある埠頭倉庫へと足を運んだ時の事を思い出した。


それは、8ヶ月前くらい。



2月のとても寒い日で、少し雪が降っていた。



「斗希さん、こいつらシメておきました」


それは、十数年振りに見る、中学の時の同級生の高杉君。


昔から、怖くて近寄りがたい人だったけど、
今は、もう本物って感じ。


誰が見ても、ヤクザ。


今の高杉君は、斗希さんの話では、
父親の暴力団事務所の跡取りとして、若頭におさまっている。


その高杉君の舎弟?のような男性数人が、サイドへと離れると、
中央に現れたのは、見るも無残な姿の男性二人。



「寧々、こいつらが、お前の元旦那と、お前を一緒に嵌めた友達って奴だろ?」


高杉君にそう問い掛けられるけど、
すぐに返事出来なかったのは、
もうその人達が、そうだと判別出来ないくらいに顔が赤黒く腫れあがっているから。


その二人は、床に正座をさせられていて。


泣いてて肩が動いているから、
かろうじて生きている事は分かるけど。



「…高杉…ありがとう…」


横に居る斗希さんの顔を見ていないが、
斗希さんでさえ今のこの二人を見て絶句しているのが、その声から分かった。



「いえいえ。
斗希さんの為なら。
それに、瑛太の為です」



瑛太?と、頭の中で疑問が湧く。