お姉さん、泣いて



すると、男子高校生は大雨に似合わない、晴れやかな笑顔になり、


「ふふっ、お姉さんってば優しいね。悪い男に捕まらないように気をつけてよ」


なんて平然と言ってのけた。


「もう捕まってるんだけど、どの口が言ってるのかな?」
「あぁ、俺に捕まった自覚は有るんだ?それは良かった」
「………」


性格!悪い!
おねーさんにタオル越しに触れて真っ赤になってた可愛い男の子のくせに!


私を抱き締めて心臓を大きく早く鳴らしてた不慣れな男の子のくせに!


と、到底口には出せないことを考える。


そんな私の精一杯の睨みを、男子高校生は怪しい色を浮かべた瞳で受け止め。


「まぁ、逃がすつもりなんてさらさらないから……覚悟しててよね、おねーさん」


不敵な笑みをこちらに向け、勝利宣言ともとれる宣戦布告をしたのだった。





END