お姉さん、泣いて



予想外の展開についていけない。急になにを言い出すんだこの子は。


差し出された手に自分の手を重ねないままでいると、しびれを切らした男子高校生が強引に手を取った。


握手の強要、良くない。


「俺が大人になるまで待っててなんて言わないから。せめて友達でいさせて。お願い」


うるうると瞳を潤ませ、懇願する様子は文句なしに可愛い。さすが顔のいい男子高校生。
……でも。


「それ、わざとやってるでしょ?」
「あは、バレた?」
「羊の皮をかぶった狼め……」
「こういうの好きそう」
「うぐっ……」


ギャップ萌え、ロールキャベツ男子は最高。異論は認めない。


それが男子高校生にバレているというのがなんともいえないところだけど……好きなものを嫌いといえるほど、私は薄情な人間じゃないのだ。


まぁ、それはともかくとして。


友達くらいなら……いいよね。
どうせ飽きたら勝手に離れていくだろうし……。


結婚前提のお付き合いとかでもないし。


そう思って、私は無理に掴まれた手に少しだけ力を込めた。