「……は?俺が誰にでもこんなことすると思ってるんですか?」
上から降ってきた地を這うような低い声にぎくりと心臓が震えた。
なんで思ってることがバレたんだろう。もしや思ってることを口にしちゃった、とか?
今日の私、最低すぎる……このあと交番にでも行っておまわりさんに逮捕してもらいたい……。
もぞもぞと男子高校生の胸から顔を出し、恐る恐るご機嫌を伺うと、またしても鋭い睨みが飛んできた。
……ごめんなさい。
「俺はこういうことは特別な人にしかしません。そういう変な勘違いはやめてください」
「とくべつ……?」
「そうですよ。名前を知らなくても、2回しか会ってなくても。あなたは最初から俺の特別なんです」
……は、ははっ。私は今疲れてるんだ。そうだ。
だからありえない幻覚を見てドキドキしちゃってるんだ。わははっ!
あれ、でもだったらこのあったかいのはなんだろう。
ぎゅって力が込められたこの感触はなに?
え、あ、なに、ほんとに男子高校生が私のことを特別だって言ってるの??
熱い視線を、真剣な想いを向けてくれているの……?



