「そんな人が情けないって……嫌味になってしまいます。それに、たまには誰かに頼ったっていいじゃないですか。いつもあなたが配っている善意が、巡り巡って戻ってきているだけなんですから」
そう言い切って私を安心させるように、にこっと明るく笑った。男子高校生の言ってることに反論すべき点は見当たらないし、なにより顔がいい。
私はお口をチャックして頷くしかなかった。
「……なにがあったんですか?さっき、でっかいため息をついてましたよね?それに、指輪もなくなってますし」
意を決したように踏み込んだ質問をしてくる男子高校生。
……目につきにくい小指まで見ていたとは。もういっそ高校生をやめて今すぐ探偵にでもなればいいと思う。
仕事中に目につくのが嫌で昨日の夜のうちに外しておいた、誕生日に彼氏からプレゼントされた指輪。
既に家のごみ箱の中で他のごみに埋もれている。
賢い男子高校生のことだから、きっと指輪が消えている理由もわかっているんだろう。



