「見ず知らずの人を純粋な善意だけで助けるなんて、普通の人はできません。でも、あなたはきっと助けることが普通で、だからこそいつでも誰かを助けられるように余分に傘とタオルを持ち歩いてる」


会ったのは今日を入れてもたった二回。私のことを知っているはずもない。
それなのに確信をもっているかのように言い切る男子高校生。


本来であれば知ったかぶりをされることに不快感を覚えるはずなのに、的を射ているから許せてしまう。
たぶん、この前会ったときには既に見抜かれていたんだろう。


その洞察力と聡明さに脱帽だ。


「俺はハンカチすら持ち歩かないようなやつだったんです。だけど、あなたが親切にしてくれたから、俺も誰かを助けられる人になろうって折りたたみ傘やタオルを持ち歩くようになったんですよ」


加えて素直さも持ち合わせている。
そんないい子が私に憧れていて素敵だと言うのは、もはや現実として受け入れられない。


きっと空気の読める子だから、ネガティブなワードをポロリしてしまった私を慰めてくれているってところか。


よくできた子だ。今すぐ社会人になっても上手くやっていける。私が保証しよう。