んん?と、上を見上げれば微妙に怒っているような顔がそこにあって。
しかし、耳だけが赤いところを見るとどうやら照れているらしかった。
自分から触れにきたのに。
「可愛いなぁ……」
うぶで赤くなってる男子高校生、めちゃくちゃ可愛い。
ここが公衆の面前じゃなかったら抱きしめて頭を撫でているところだ。
……なんて危ないことを考えている私は相当弱っているんだと思う。
早く帰って、美味しいものを食べて、シャワーを浴びて。
録り溜めているドラマの一気見でもするとしよう。明日は休みなのだし。
と、呑気なことを考えていると。
「俺、男なんですけど」
あからさまにムッと歪め、威圧的に目を鋭くさせた男子高校生は、手を止めてドキリとするようなセリフを吐いた。
その眼光から逃れるように視線を逸らせば、私の折れそうな腕とは正反対のたくましい腕が男子高校生の言葉を証明していて。
さらには今私の頭をすっぽりと覆っている手の大きさにも意識がいってしまい、ぐっと言葉に詰まる。
……ちょっと待って。
彼氏に振られた翌日に男子高校生にうっかりときめくのはだいぶやばいでしょ。



