自宅に戻ろうと、タクシーを呼ぼうとしたその時ーーー。

「つぼみ」

 と、後ろからわたしを呼ぶ声が聞こえてきた。

「……え?」 

 気になって振り返ると、そこには……。

「……日向?」

 なぜかラフなパーカーとジーパンを履いた日向が立っていた。

「なんで日向がここに……?」
 
 ていうか……。日向今、わたしのこどつぼみ゙って名前で呼んだよね?

「迎えに来たんだ」

「迎え……?」

 え、迎えって……。わたしを?

「帰ろう、つぼみ」

 そんなことを思っていると、日向はわたしの左手を掴んでそう言ってきた。

「え、あの、日向……!?」

 ちょ、ちょっと待って……! 

「ちょっと、日向!そんなに引っ張らないでよ……!」

 な、何なのよもう! どうしたって言うの?

「ちょっと、日向……。どうしたのよ」

 いきなり腕を引っ張ってくるし……。迎えに来たなんて言うし……。
 訳が分からない。何なの……?

「つぼみ」

「え、何? てか、なんで呼び捨て……?」

 そんな真剣そうな眼差しを向けられたら、ドキドキして何も言えないじゃない……。