「俺の力不足のせいで、かわいそうなことをしてしまいました」

 イラリオさんは聖石をブルノ大司教に手渡すと、唇を噛んで俯く。

「話は聞いています。残念なことです」

 ブルノ大司教も沈痛な面持ちを見せる。
 何が残念だったかなんて聞かなくてもわかる。きっと、私のことだよね?

 あー、本当にごめんなさい!
 アリシア、目の前にいるんです!

 居心地悪げにしていると、ブルノ大司教はふと私へと目を向ける。

「もしやその子が?」
「はい。聖女候補だったアリシア=エスコベドの妹です。アリエッタといいます」
「ああ、やっぱりそうでしたか。小さい頃のお母さんにそっくりです」

 ブルノ大司教は何かを懐かしむように目を細める。一方の私は、ブルノ大司教の話に驚いた。