イラリオさんは慣れた様子で大聖堂の入り口を開ける。その瞬間、まるで何かに包まれるような不思議な感覚がした。
 聖堂の中には無数の光が漂っており、すぐにそれは精霊達だとわかった。虹色に輝いているので、光の精霊だろうか。

[おかえりー]
[おかえりー]

 聖堂に入ってきた私達に気付いた無数の精霊達が私に向かって笑顔でそう呼びかける。

(……おかえり?)

 精霊達の言葉の意味がわからず、私は戸惑った。
 私の母はセローナ出身だった。だから、私の生まれはセローナだ。精霊達はもしかして、そのことを知っているのだろうか?

「なんだか今日は精霊が多いな」

 イラリオさんも精霊の気配を感じているようで、立ち止まって宙に視線を投げる。