絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!

 長い長い夢を見ていた気がする。
 目を開けようとまぶたに力を入れようとするけど、なんだかとても重い。

「おいっ、意識が戻りそうだ! 医者を!」

 誰かの声が聞こえた。そして、額を触れられる感触。さっきの男の人よりも固くてゴツゴツした感触だけれど、優しさを感じたのは同じだ。
 ゆっくりと目を開ける。最初に目に入ったのは、シンプルなランプがぶら下がった真っ白な天井。 そして、こちらを心配そうに見つめるイラリオさんの顔だ。

「よかった。意識が戻った!」

 イラリオさんは私を見つめ、どこか泣きそうな顔をする。

(イラリオさん? ……あっ!)

 残り時間は僅かだったのに、寝てしまうなんて!
 私は焦ってがばりと起き上がる。

「薬! エリクサー!」