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周囲は見渡す限り、森だった。上を見上げれば生い茂る歯の合間から、優しい木漏れ日が降り注いでいる。
『私はどうしたってあなたの元へはいけません。この子はひとりで育てます』
『しかし──』
『大丈夫。あなたはこんなに可愛い宝物を私にくれたのだもの』
ぼんやりと見えるのは、若い男女だった。
(お母さん?)
どこか泣きそうな顔をして男性と話しているのは、お母さんに見えた。けれど、私の記憶の中にいる母の面影よりもだいぶ若い。きっと、今の私と同じ位の年頃だ。
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