早速ヴィラム殿下の元へ向かおうと歩き始めたそのとき、遠くから大きな爆発音がした。──ドーン!という音と共に、地響きがする。
「なんだ?」
爆薬庫で事故でもあったのかと思ったが、噴煙が上がっている方向がどうも違う。すぐに王宮の二階へと駆け上がり、その煙の方角を見る。緑の木々に囲まれた場所にある建物を確認し、肝が冷えるのを感じた。
「アリシア!」
俺は咄嗟に走り出す。爆発が起きたのはアリシアが幽閉されている離れの建物だった。罪を犯した疑いのある高貴な身分の者が一時的に入れられる建物で、他の建物とは隔離された場所にある。
(これはひどいな……)
中で爆発があったのか、建物の一部が大きく損壊していた。アリシアがいた部屋だ。
「アリシア! どこだ!」



