その意味を理解したとき、底知れぬ怒りが湧くのを感じた。つまり、俺に頼まれて彼女が聖女の神託を得た振りをしたと言っているのだ。
『ばかな! 王位継承権など、俺は四年前に放棄した。陛下が一番よくご存知でしょう!』
俺は現国王カスペル陛下の腹違いの弟だ。王妃の子であるカスペル陛下に対し、俺は側妃の子だった。
例え側妃の子であろうとも、国王の子供であることは変わりない。四年前まで、俺にも王位継承権があった。それを放棄したのは、当時まだ王太子だった他でもないカスペル陛下からの要請だった。
さらに、セローナという僻地の聖騎士団に行かされるという半ば島流しのような命令を受けたときも、それでカスペルの気が済むのであればと思い、甘んじて受け入れた。
それなのに、なんたる言い草だと怒りが湧くのを感じた。
『人の心は移ろうものだ』
カスペル陛下は哀れむような目を俺に向け、踵を返す。床にブーツの踵がぶつかるカツカツという音が遠ざかってゆくのが聞こえた。
ひとり立ち尽くし、拳を握りしめる。
『ばかな! 王位継承権など、俺は四年前に放棄した。陛下が一番よくご存知でしょう!』
俺は現国王カスペル陛下の腹違いの弟だ。王妃の子であるカスペル陛下に対し、俺は側妃の子だった。
例え側妃の子であろうとも、国王の子供であることは変わりない。四年前まで、俺にも王位継承権があった。それを放棄したのは、当時まだ王太子だった他でもないカスペル陛下からの要請だった。
さらに、セローナという僻地の聖騎士団に行かされるという半ば島流しのような命令を受けたときも、それでカスペルの気が済むのであればと思い、甘んじて受け入れた。
それなのに、なんたる言い草だと怒りが湧くのを感じた。
『人の心は移ろうものだ』
カスペル陛下は哀れむような目を俺に向け、踵を返す。床にブーツの踵がぶつかるカツカツという音が遠ざかってゆくのが聞こえた。
ひとり立ち尽くし、拳を握りしめる。



