絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!

 あの後、何度もカスペル陛下に面会を申し込んだ。そして、ようやく面会が叶ったのはつい昨日のことだ。

『何かの間違いです。彼女にはそんなことをする理由がありません』
『大方、聖女となったら得られる富と権力、人々からの崇拝がほしかったのだろう』

 俺の訴えをつまらなそうに聞いていたカスペル陛下は、半ば決めつけるようにそう吐き捨てる。

 確かに、聖女となった女性には多くの特権が与えられる。一生遊んでゆけるような手厚い報酬も与えられる。それに、望めば側室や妃としてば王室に入ることも可能だ。

(だがしかし、アリシアがそれを望んだだと?)

 少し前にいつ帰れるかと心配していたアリシアを知っているだけに、そんなことは考えづらかった。

『あり得ません』

 俺はカスペル陛下の言葉を否定する。それを聞いたカスペル陛下は鼻白んだような顔をした。そして、何かに気付いたように意味ありげにこちらを見つめた。

『いや、もしかすると彼女はただ協力を仰がれただけという可能性もあるな』
『協力?』
『ああ。聖女を見つけ出した者には大きな名誉と莫大な褒賞が贈られるのが通例だ。もしもお前が見つけ出せば、王位継承権を復活するように周囲の貴族達からの期待が集まるかもしれない』