「口の利き方に気を付けろと言ったばかりだぞ。お前には私に意見する資格はない。伝説というならば、精霊神様の言葉を聞くことができた聖女もまた伝説だ」

 国王陛下はそばで立ち尽くす衛兵に視線を向ける。

「つまみ出せ」

 国王陛下がそう命じると、複数の衛兵がイラリオさんの両脇を抱えて引きずり出そうとした。ドアが閉じる間際、イラリオさんとしっかりと目が合った。

 ──必ず助けてやる。

 まっすぐな眼差しは、そう言っている気がした。