「忠臣の願いを聞き入れたいのは山々だが、それは聞けぬ。その女は、恐れ多くも精霊神様のお言葉を直接聞いたなどと言い、偽物であるにもかかわらず自分こそは聖女であると虚偽の申告をした。国家のみならずこの世界を混乱に陥れる大罪だ」

 国王陛下は一呼吸おき、言葉を続ける。

「だが慈悲深い私はチャンスをやった。もしも精霊神の言葉を本当に聞けるほどの聖女であるならば、伝説のエリクサーも作れるはずだ。よって、一週間以内にエリクサーを作れれば聖女であると認める。できなければ、犯罪者として火あぶりの刑に処す」
「無茶苦茶です! エリクサーは伝説の薬だ。それは陛下もわかっているでしょう!」

 声を荒らげたイラリオさんの腕に、バシンと何かが当たる。国王陛下が腰から下げていた剣の側面部だった。イラリオさんの顔が苦痛に歪む。