絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!

 司教は私のことを偽聖女候補だと断定するように言い切った。その場にいた多くの人達もその発言を聞き、「偽物ですって?」「まあ、恐れ多いわ」などとざわめき出す。

「偽物じゃないわ。それに、聞いたもの!」
「では、どうそれを証明する?」

 私はぐっと言葉に詰まる。先ほどの声はアリシアしか聞いていない。
 周囲のこの反応を見る限り、誰にも聞こえていなかったと考えて間違いなさそうだ。となると、私が不思議な声を聞いて神託を受けたということを証明する方法はない。

「もう一度、あの聖石を触れば──」
「聖石が反応するのは一度きりです。それ故、信用に足る人間にのみ聖女候補探しを任せるのです」

 大司教が首を横に振る。

「え?」

 一度きり? そんな話、イラリオさんからは聞いていない。

「いくら聖女候補が見つからないとは言え、もとんでもないことを。偽物が聖女候補を名乗るなど、国家反逆の大罪だ。すぐに火あぶりにすべきです」

 先ほどの司教が更にそう叫ぶ。周囲の司教達も、想定外の事態にどうするべきなのか判断が付かない様子だ。