絶体絶命の聖女候補、幼女薬師になってもふもふと聖騎士団をお助けします!

 私ははっきりと返事をすると、祭壇の前へと歩み寄った。中央に立ち精霊神を模したといわれる彫像を見上げたと、なぜか不思議な感覚がした。
 懐かしいような、安心するような──。

 両手を胸の前で組み、目を閉じて跪く。心の中で、祈りを捧げた。

(無事に次の聖女様が見つかり、この世界の平穏が続きますように)

 その瞬間、頭の中に話しかけるようにはっきりとした声が聞こえた。

 ──あなたのことをずっと待っていました。聖獣の愛し子よ。世界の均衡を守るのはあなたです。

「えっ?」

 突然の声にびっくりしてぱちっと目を開ける。周囲を飛んでいる精霊が悪戯をして囁いたのかと思ったけれど、何も飛んではいなかった。

「アリシアさん。祈りを捧げてください」

 大司教が怪訝な表情で諭してくる。

「え……?」

(どうしよう。もしかして、私だけ何もおこならなかった?)