その表情を見たときに、決意した。

 アリエッタは本当はアリシアで、もしかすると本物の聖女どころか伝説の大聖女かもしれない。けれど、彼女がそれを知られることを望んでいないのなら、話してくれるまでしばらく待ってみようと。

「イラリオさん。私、これからもイラリオさんと一緒にいていい?」
「当たり前だろ」
「そっかぁ、へへっ」

 俺の返事を聞いたアリエッタは、花が綻ぶかのような笑みを浮かべた。



 その日、俺はヴィラム殿下にふたりきりで話したいと呼び出された。滞在先はセローナでは一番の高級ホテルだ。

「今回の件は、本当にすみませんでした。結界の緩みが生じている現状を見せることで聖女としての自覚を持たせようと無理にアメイリの森に連れて行ったのですが、まさかこんなことになるとは」